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January 04, 2006

イギリスのソーシャルエンタープライズの今 その5

Newcastle_city_hall 今まで4回に渡って見てきましたイギリスのソーシャルエンタープライズ(以下、S.E.)の全国調査ですが、今回が最終回となります。過去4回では、S.E.全体の事業規模、組織形態、事業内容、ミッションと見てきましたが、今回はS.E.のターゲットについて見ていきます。

●○ソーシャルエンタープライズのターゲット・人○●

A Survey of Social Enterprises Across the UK’調査結果では、ターゲットとする人の属性として突出した物はありませんが、「障害者」「子供あるいは若者」「高齢者」そして「低所得者」という属性を持つ人をターゲットとするS.E.がそれぞれ10~20%あり、この4つの属性がイギリスにおけるS.E.のターゲットとなっています。

障害者に対して提供されるサービスとしては、就業機会を得るためのサポートが多い傾向にあります。前回のコラムにもありましたが、S.E.に求められるミッションとしては、やはり、就業機会の創出は大きな位置を占めていることが、ここからも読み取ることが出来ます。

これら、障害者に対する雇用を生み出すということに力点を置いたS.E.として、‘Social Firms’と呼ばれるものがあります。この‘Social Firms’が創出する雇用の25%以上は障害者に対するものであることが、そのミッションの中で謳われています。

そして、この‘Social Firms’の雇用を創出する活動を見てみると、普通のビジネスと同様に、ビジネスの市場性を獲得しながら、自らのミッションを如何に達成するのかということに力点が置かれています。このような取り組みはS.E.の基本的な姿勢としては、当たり前のことなのかも知れませんが、実現することは中々難しいのが現状です。

●○ソーシャルエンタープライズのターゲット・地域○●

次に、S.E.のターゲット地域別に見てみると、89%のS.E.が都市部に位置しており、農村部等の都市以外の地域とのはっきりとした格差が見られ
ます。

S.E.とは異なりますが、社会的経済における仕組みである‘Lets’(Local Exchange Trading System)などを代表とする「地域通貨」などの場合は農村部での活用が割合と多く見られますが、今回の調査結果では圧倒的に都市部でのS.E.の活動が際立っています。

この結果から、次の2つのことに気づきます。一つ目は、都市部にはS.E.の活躍が期待される課題が多くあるということ。そして、農村部に比べて資本の論理が強く働く都市部においても、S.E.が成立するということです。

もう一つのS.E.の活動地域に関する調査結果として、S.E.全体の約半分は荒廃地域と呼ばれる課題を多く抱える地域で活動を行っている一方で、もう半分のS.E.は、荒廃地域以外での活動を行っています。

S.E.は行政の行っていた公共サービスの代替的な役割も期待されているなので、荒廃地域における福祉的な視点に立った活動を行うことは想像に難くありませんが、荒廃地域以外での活動も同様に存在するということは、S.E.の潜在的な力を感じさせます。

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