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October 04, 2005

イギリスのソーシャルエンタープライズの今 その2

Creative_fm 前回からお伝えいたしておりますイギリスのソーシャルエンタープライズに関する全国調査レポート”A Survey of Social Enterprises Across the UK”の冒頭にこのレポートの目的について、以下のように書かれています。

●○ソーシャルエンタープライズってどんな企業?○●

「この調査はソーシャルエンター・プライズの活動への理解を深めることへの第一歩とすること」

このことから、前回のメルマガ+ブログで比較を試みようとした日本の調査レポート「ソーシャル・マーケットの将来性に関する調査研究報告書」とはその性格を異にしており、この2つのレポートによって日英の状況を比較することが難しいということがお分かり頂けると思います。

日本の調査レポート「ソーシャル・マーケットの将来性に関する調査研究報告書」では、ソーシャルマーケットの将来性を推計することを目的としており、「日本標準産業分類」に準拠し、また、将来の可能性を含んだ現状認識が行われているために、広範囲に及ぶ活動や組織が含まれています。

具体的には、公益法人(学校法人、医療法人等)、共益的団体(協同組合等)、その他団体(自治会、町内会等)そして、営利法人(株式会社、有限会社等)などを調査対象としています。

一方、イギリスの調査レポートは、既存の法的な枠組みで絞込みを行いながら、現在まで余り認識されてこなかったソーシャルエンタープライズの実態を把握することを主眼に調査対象の抽出をしています。どちらの方法が優れているということではなく、その調査の意図によって、これらの調査対象は決められるべきだと思います。

このようなややこしい議論が起きるのも「ソーシャルエンタープライズって何?」 「コミュニティビジネスってどんなビジネス?」ということに対する共通認識 が確立されていないためだと考えます。また、ソーシャルエンタープライズ自身が、今後も、そのような共通認識を醸成することが難しい性格を持った活動なのかもしれません。

それは、裏を返せば、多様な主体が、多様なつながりを持って、多様な活動を展開し、また、日々刻々と変化し続けているということです。コミュニティビジネスの真髄はこの辺りにあるのではないかと思います。

●○現状認識の「第一歩」を始めたイギリス○●

そこで、再びイギリスの全国調査を見てみると、「世の中にはソーシャルエンタープライズに関する様々な定義があるが、大雑把にいえば組織の持つ目的と収益事業で得られた利潤の使い道によってのみ、社会的起業か否かを判断すべきではないか」と述べています。

そして、「この定義によって、ソーシャルエンタープライズの組織形態、法的な位置づけ、組織の大きさ、地理的な条件等々の高度な多様性を許容することができ、ソーシャルエンタープライズだという認識を自らが持っていない組織や政府の定義に合わない組織がいるという現状を、より深く把握することが出来る」としています。

具体的な調査対象の選定に当たっては、”Companies Limited by uarantee”と“Industrial & Provident Societies”に登録されている組織のうち、以下の4点に該当するものとしています。

  ・日常的に収益事業を行っていること
  ・全収益の25%以上を自らを行う収益によって賄っていること
  ・より良い「社会」や「環境」の実現を目的としていること(利益追求ではないということ)
  ・得られた利潤は上記の目的のために再投資されること

この基準が適当か否かという議論は尽きないと思いますが、より現実に即した ソーシャルエンタープライズの現状を認識する「第一歩」のためには有効な選定基準だと思われます。

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