« 自己紹介 | Main | イギリスのソーシャルエンタープライズの今 その2 »

September 04, 2005

イギリスのソーシャルエンタープライズの今 その1

leicester_market

日本ではコミュニティビジネス、あるいは、(ビジネスタイプ)NPOという名前のほうがより一般的だと思いますが、イギリスではソーシャルエンタープライズという呼び方が定着しています。

今年の7月に発表された全国調査の報告書をもとに、イギリスのソーシャルエンタープライズ(コミュニティビジネス)の状況について、しばらく、みなさんと一緒に考えていきたいと思います。

今回取り上げる調査は、”A Survey of Social Enterprises Across the UK”と題されたもので、イギリスの通商産業省(Department of Trade and Industry)の中のSmall Business Serviceと呼ばれる内部機関によって作成されたものです。

イギリスにおけるソーシャルエンタープライズは、長い歴史を持つVoluntary Sectorと呼ばれる慈善団体(日本、アメリカのNPOに相当)やイギリスが発祥の地とされる協同組合などと、深い関係を持っています。
冒頭にある「コミュニティビジネス」イギリスで長い伝統を持つVoluntary Sector、協同組合、そして、ソーシャルエンタープライズと、ソーシャルエコノミーの担い手の名称は多種多様にわたり、少々混乱しています。

この調査で対象としているソーシャルエンタープライズは、法的な組織形態からの規定をしており、”Companies Limited by Guarantee”と“Industrial & Provident Societies”に登録されている組織を取り上げています。

”Companies Limited by Guarantee”とは、「債務保証による有限責任会社」で、主にイギリスの非営利団体や社団が取得する法人格です。現在、イギリスにおける都市再生を担う、”Urban Regeneration Companies”と呼ばれる都市再生会社もこの形態をとっています。

また、“Industrial & Provident Societies”は産業共同組合法により規定された産業協同組合で、組合員やコミュニティのための事業を行うことを目的とし、事業で得られた利益は、更なる事業に投資が行われます。

上記の2つの組織に登録されているソーシャルエンタープライズは約15,000にのぼり、イギリスの全労働人口の1.2%に相当し、また、全産業の収益の0.8%に当たる約180億ポンド(約3.6兆円)を生み出しています。

一方、日本におけるSocial Enterpriseの現況を示す資料として、平成17年に経済産業省から出された「ソーシャル・マーケットの将来性に関する調査研究報告書」によると、ソーシャル・マーケットの生産額は74.6兆円、事業所数は56.3万事業所となっています。

この数字だけで比較すると、日本のソーシャルマーケットの市場規模はイギリスのソーシャルエンタープライズの経済活動よりもはるかに大きい規模なのですが、この74.6兆円の業種別の構成を見てみると、49.0%が医療業、教育が26.7%、社会保険・福祉が12.2%となっており、また、法人種類別の構成では、医療法人が32.9%、財団・財団法人が21.3%、社会福祉法人が14.2%、学校法人が13.0%となっており、イギリスのソーシャルエンタープライズに関する統計数字との比較は難しくなっています。

そして、このような比較を行う際には、「ソーシャルエンタープライズ」や「ソーシャルマーケット」とは何なのか?ということが問題となります。そのあたりについて、イギリスの場合を例にして、次回以降で考えていきたいと思います。 

|

« 自己紹介 | Main | イギリスのソーシャルエンタープライズの今 その2 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/64211/5790687

Listed below are links to weblogs that reference イギリスのソーシャルエンタープライズの今 その1:

« 自己紹介 | Main | イギリスのソーシャルエンタープライズの今 その2 »